令和3年度_技術士建設部門 必須Ⅰ-1 循環型社会形成のための課題

技術士試験

令和3年度建設部門 必須問題Ⅰ-Ⅰの学習記録を復元しました。

建設リサイクルの取り組みですが、最近はGXや盛土規制法が着目されがちで、あまり出題されづらいのかもしれません・・・。


問題文

 近 年 、 地 球 環 境 問 題 が よ り 深 刻 化 し て き て お り 、 社 会 の 持 続 可 能 性 を 実 現 す る た め

に 「 低 炭 素 社 会 」 、「 循 環 型 社 会 」 ,「 自 然 共 生 社 会 」 の 構 築 は す べ て の 分 野 で 重 要 な 課 題 とな っ て い る 。 社 会 資 本 の 整 備 や 次 世 代 へ の 継 承 を 担 う 建 設 分 野 に お い て も 、 イ ン フ ラ ・ 設備 ・ 建 築 物 の ラ イ フ サ イ ク ル の 中 で 、 廃 棄 物 に 関 す る 問 題 解 決 に 向 け た 取 組 を よ り 一 層 進め ,「 循 環 型 社 会 」 を 構 築 し て い く こ と は 、 地 球 環 境 問 題 の 克 服 と 持 続 可 能 な 社 会 基 盤 整備 を 実 現 す る た め に 必 要 不 可 な こ と で あ る 。 こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え て 以 下 の 問 い に 答え よ 。

( 1 ) 建 設 分 野 に お い て 廃 棄 物 に 関 す る 問 題 に 対 し て 循 環 型 社 会 の 構 築 を 実 現 す る た め に 、技 術 者 と し て の 立 場 で 多 面 的 な 観 点 か ら 3 つ 課 題 を 抽 出 し , そ れ ぞ れ の 観 点 を 明 記 し たう え で 、 課 題 の 内 容 を 示 せ 。

( 2 ) 前 問 ( 1 ) で 抽 出 し た 課 題 の う ち 最 も 重 要 と 考 え る 課 題 を 1 つ 挙 げ 、 そ の 課 題 に 対 する 複 数 の 解 決 策 を 示 せ 。

( 3 ) 前 間 ( 2 ) で 示 し た す べ て の 解 決 策 を 実 行 し て 生 じ る 波 及 効 果 と 専 門 技 術 を 踏 ま え た懸 念 事 項 へ の 対 応 策 を 示 せ 。

( 4 ) 前 間 ( 1 ) ~ ( 3 ) の 業 務 遂 行 に 当 た り 、 技 術 者 と し て の 倫 理 、 社 会 の 持 続 可 能 性 の観 点 か ら 必 要 と な る 要 件 、 留 意 点 を 述 べ よ 。


回答文

(1)循環型社会形成のための課題

①建設系廃棄物の発生抑制(観点:発生抑制)

 建設系廃棄物は現場内再利用等、その発生抑制の取り組みが行われている。しかし、未だ全産業廃棄物の約2割を占める約7440万トン(H30時点)が発生しているなど、更なる改善の余地がある。今後、建設後50年を迎える施設の更新を迎える中で、いかに建設系廃棄物の発生量を抑制するかが課題である。

②効率的な再資源化(観点:再資源化)

 再生資材の価格には、現場発生材の施設運搬費や再資源化処理費がコストとして含まれているため、新材に比べて高額になる場合もあり、価格競争力が必ずしも高くない。現状、公共工事の再資源化施設選定は、運搬費と処理費の合計が安価となるように行われているが、今後は効率的な処理施設を優先選定するなど、いかに再資源化処理を効率化するかが課題となる。

③再生資源・発生材の利用増(観点:再利用)

 特定建設資材の再資源化率は、H30時点で97%となり、取り組みが進んでいる。しかし、建設発生土の再利用率は79.8%と頭打ちとなり、コンクリートから再生コンクリートへの水平リサイクルがなされないなど、利用増に向けた取り組みが急務である。よって課題は、いかに再生資源・発生材の利用を増やすかである。

(2)最重要課題と解決策

 再資源化率を向上させても、その利用が図られない場合、最終的に廃棄物化してしまう。このため、最重要課題を「再生資源・発生材の利用増」とし、以下に解決策を述べる。

①建設発生土官民ストックヤードの整備

 建設発生土のストックヤードを整備することで、発生土の利用率を向上させる。発生土の現場間利用は、その需給のタイミングをマッチングさせる必要があり、仮置きの官民共用ヤードを活用して、マッチングを柔軟化させる。ストックヤードは運営事業者登録制度を用いて、その管理の安全性を担保する。

②官の率先した再生資源利用

 国や自治体といった官側が率先して再生資源を利用することにより、再生資材の需要を向上させる。現状、国や県で実施している「グリーン購入法」による公共調達を、市町村でも同様に行う。これにより再生資材の需要を高めることができ、また、再生資材の製品開発のモチベーションに繋げることも可能となる。

③再生骨材コンクリートの活用

 再生骨材コンクリートについて、活用を進める。コンクリートを再生骨材化した場合、吸水率などの品質の高い順からH(一般骨材並み)、M(少し低品質)、L(低品質)と規格が分けられる。上記のH骨材を公営住宅等へ活用し、再生骨材の活用とイメージ向上を図る。また、M・L骨材を小規模な縁石等へ活用し、乾燥収縮等のデータをフィードバックの上で混合率を決定するなど改善を図る。

(3)波及効果、懸念事項への対策

①波及効果

 解決策①~③の実施により、再生資源の需要が高まることで、再資源化についても効率化に係る市場競争が発生し、コスト低減につながる。これによって循環型社会の実現に近づいた。

②懸念事項と対策

懸念事項:資源の循環が進んだ段階で、副産物や発生土に有害な砒素、硫黄、重金属等が混入した際、責任所在が曖昧化する懸念がある。

対策:再生材受け入れ時、ロット毎に科学的分析・記録を徹底することで、トレーサビリティを確保する。このように、有害物質の混入経路を追跡可能とする対策をとる。

(4)倫理、持続可能性

 倫理観点から必要な要件は、どんな時も公衆の安全を最優先に対処することである。例えば、再生骨材に品質不良が見つかり住民の安全が確保されない場合、即座に施工を中止し、原因究明や材料変更の措置をとることに留意する。

②持続可能性

 持続可能性の観点から必要な要件は、環境保全・資源保全に努めることである。建設産業の循環型社会を実現し、将来世代の環境や資源を損なわないことに留意する。

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