令和3年度_技術士建設部門(施工計画)Ⅲ-2 公共工事が適正額で応札・落札されるための課題

技術士試験

令和3年度建設部門(施工計画)Ⅲ-2の学習記録を復元しました。

公共工事の適性額落札を妨げる要因は多いです。談合、閑散期繁忙期、価格偏重競争、不適切な予定価格の設定、見えづらい施工阻害要因など・・・。

中でも重要な課題を自分なりに現状分析しながら挙げ、本番までに持ちネタ論文として用意することができました。

なお、私はこの論文を令和7年度の本番Ⅲ-2でほとんどそのまま書いてしまい、B判定をもらってしまいました。題意を汲み取ることの重要性を実感しました。(選択Ⅱとの合計でAだったので助かりました。)


問題文

 公 共 工 事 の 入 札 ・ 契 約 で は 、 透 明 性 の 確 保 、 競 争 の 公 正 性 の 確 保 、 入 札 談 合 等 の 不正 行 の 排 除 、 ダ ン ピ ン グ 受 注 の 防 止 、 不 調 ・ 不 落 対 策 等 の 入 札 ・ 契 約 の 適 正 化 が 求 め られ る 。

発 注 者 に お い て は 、 ダ ン ピ ン グ 受 注 を 防 止 す る た め の 適 切 な 低 入 札 価 格 調 査 基 準 や 最 低制 限 価 格 の 設 定 と 、 不 調 ・ 不 落 対 策 等 に 対 応 す る た め 適 切 な 発 注 が 求 め ら れ て い る 。

一 方 ,応 札 者 は 、 発 注 者 が 設 定 す る 予 定 価 格 及 び 低 入 札 価 格 調 査 基 準 等 を 推 算 し 、 応 札 し て い る実 態 も 指 摘 さ れ て い る 。

こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え て 、 以 下 の 問 い に 答 え よ 。

( 1 ) 公 共 工 事 が , 適 正 な 額 で 応 札 ・ 落 札 さ れ る た め の 課 題 に つ い て 、 施 工 計 画 、 施 工 設 備及 び 積 算 分 野 の 技 術 者 と し て 多 面 的 な 観 点 か ら 3 つ 抽 出 し 、 そ れ ぞ れ の 観 点 を 明 記 し たう え で 、 課 題 の 内 容 を 示 せ 。

( 2 ) 前 問 ( 1 ) で 抽 出 し た 課 題 の う ち 最 も 重 要 と 考 え る 課 題 を 1 つ 挙 げ 、 そ の 課 題 の 解 決策 を 複 数 示 せ 。

( 3 ) 前 問 ( 2 ) で 示 し た す べ て の 解 決 策 を 実 行 し て も 新 た に 生 じ う る リ ス ク と そ れ へ の 対策 に つ い て 、 専 門 技 術 を 踏 ま え た 考 え を 示 せ 。 


回答文

(1)適正額で応札・落札されるための課題

①談合等の排除(観点:違反行為)

 工契約関係競争入札妨害及び談合(以下、談合等とする)については、警察権者や司法により、厳しく取り締まりがされ、近年減少している.しかし、その根絶には至っていない.これは、談合等により、価格競争を妨害することで、落札額を高止まりさせ、不当に利益を得るためである.よって課題は、いかに談合等を排除するかである.

②脱価格競争(観点:ダンピング防止)

 これまで、ダンピング受注の防止のため、総合評価落札方式が導入される等の措置がなされてきた.しかし、ダンピング受注は無くなってはいない.これは、入札制度が価格競争を前提としており、落札機会に恵まれない業者等が赤字覚悟で応札してしまう場合があるためである.よって課題は、いかに価格競争から脱するかである.

③平準化(観点:不調・不落対策)

 公共工事においては、4~6月の発注ピークを平準化する取り組みが行われてきた.しかし、令和3年度実績で全国平均平準化率0.8と、取り組みが途上である.これは、予算の単年度会計主義に基づき、年度明けに工事発注が行わるためである.発注ピーク時には、1工事あたりの応札者が減り、不調・不落が発生する.よって課題は、いかに工事発注を平準化するかである.

(2)最重要課題と解決策

 最も重要な課題は、脱価格競争である.なぜなら、ダンピング受注による低価格での落札は、建設業者全体を疲弊させ、工事の品質も下げることから、その対策が最も急がれているためである.以下に解決策を述べる.

①総合評価落札方式の更なる推進

 総合評価落札方式を拡充することで、技術提案重視、企業の技術力重視の入札に切り替える.具体的には、大規模工事の場合に用いる標準型の技術提案点数の配点を上げる.また、小規模工事においては企業の技術力点数の配点を上げる.価格点数の配点割合が低下することで、行きすぎた価格競争から、技術力重視の入札方式への転換が可能となる.

②低入札基準価格未満契約工事の監視強化

 低入札基準価格未満で落札した工事を徹底的に監視し、不当な低価格契約の抑止力を強める.具体的には、工事費の積算根拠、下請け等の施工体制、下請け見積もり・契約内容、配置技術者の適性、契約工程表との進捗対比等を調査する.契約前に不当と判断した場合はその企業を失格とし、履行中の場合は重点監督を行い、不当な運用に対しては是正指示を行う.また、制度未導入の市町村への導入促進も必要となる.

③多様な入札方式の導入

 多様な入札方式を導入することで、民間企業の技術力を重視した契約が可能となる.具体的には、技術力を要する事業に対し、設計と施工を一体で発注するデザインビルド方式(DB方式)や、民間企業の仕様提案を受けて事業を行うプロポーザル方式による発注を行う.これにより、価格競争に囚われすぎない入札・契約の機会が増える.

(3)新たなリスクとその対策

リスク①:低技術力の企業の倒産が増加するリスクがある.

対策①:小規模工事においては価格による指名競争入札の機会を引き続き確保し、契約機会の確保、技術力向上機会の確保に努める.

リスク②:工事成績評定や技術提案書の評定点の重みが増し、評定に納得しない業者の不服申し立てが増えるリスクがある.

対策②:説明責任を果たせるよう、評定基準を公表する.また、担当者による評定ばらつきを排除するためのマニュアル化や研修の実施に努める.

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